Laravel Cloudとは
Laravel Cloud は、Laravel公式のフルマネージドPaaSです。アプリのデプロイ、スケーリング、データベース、キャッシュ、WebSocket基盤まで、Laravel向けに統合されています。 CloudのChangelogでは、
February 24, 2025 に Launched Laravel Cloud! と記録されています。2025年に一般提供が始まった比較的新しいサービスです。
Forgeとの違い
Laravel CloudとLaravel Forgeは、どちらもLaravel開発者向けですが、レイヤーが違います。
「インフラを意識せずLaravelアプリを早く出す」ならCloud、
「サーバーを細かく制御したい」ならForgeが向いています。
Laravel Cloudが得意なこと
Laravel Cloudは、Laravelの実運用で使う機能をダッシュボード中心で有効化しやすい点が強みです。Task Scheduler
Scheduled Tasks で、AppクラスタまたはWorkerクラスタに Scheduler を有効化するだけでschedule:run が毎分実行されます。
Managed Queues(マネージドキュー)
Queues では、Managed Queues が推奨されています。Laravel Cloud がキューのプロビジョニング、ワーカーの起動、スケーリングを自動で処理し、ジョブがない時はワーカー数がゼロまで下がるため、処理中だけ課金されます。
Managed Queues は、Webトラフィックとジョブ処理を分離しつつ、失敗ジョブのダッシュボードも使えます。
一方で
database や redis など別ドライバを自前管理したいなら Worker cluster、アプリと同じコンピュートで十分なら App cluster のバックグラウンドプロセスを使います。
1
Managed Queue を作成する
環境のインフラキャンバスダッシュボードで New Managed Queue をクリックします。
2
キュー名とワーカー設定を決める
キュー名、インスタンスサイズ、ポーリング間隔、最大ワーカー数などを設定します。
3
保存してデプロイする
設定を保存して再デプロイすると、Laravel Cloud がキューとワーカープールを自動で用意します。
Scale to Zero(Flex コンピュート)
Compute にある Flex は、低コストで柔軟に使える compute class です。新しい Scale to Zero は、この Flex コンピュートを旧 Hibernation から発展させた仕組みです。新しい Flex コンピュート では、HTTP リクエスト到着時の起動が 500ms 未満 まで短縮され、従来の 5〜20 秒待つ前提ではなくなりました。 有効化は App cluster の設定画面で Scale to Zero トグルをオンにし、保存後に再デプロイするだけです。 さらに、Scale to Zero が有効な環境では、スリープ中でも Scheduled Tasks とキュー処理のために環境が自動起動します。App cluster 上で
schedule:run を回しつつ、ジョブ処理は Managed Queues に任せる構成が、現在の公式ドキュメントでも最も扱いやすい組み合わせです。
App cluster 上の自前
queue:work は sleep timeout をまたぐと中断される可能性があります。キュー処理を確実に続けたいなら、公式ドキュメント通り Managed Queues を優先してください。MySQL Scale to Zero
Laravel MySQL の Flex サイズも Scale to Zero に対応しました。データベースが一定時間(1分〜1時間で設定可能なアイドルタイムアウト)接続を受け取らないとスリープし、コンピュート課金が止まります。ストレージは常時オンラインのままなので、スリープ中もデータは保持され、ストレージ分の課金のみ継続します。 次の接続が来ると自動的に起動します。すべての Laravel MySQL クラスタはプロキシ層でフロントされているため、起動中の接続はプロキシで保持されてからデータベースへ転送されます。接続エラーにはならず、最初のクエリが数百ミリ秒ほど遅くなる程度です(メモリサイズが大きいほど起動に時間がかかる傾向)。自動バックアップや手動スナップショットの際も一時的に起動し、完了後は再びスリープします。 現時点では US East (N. Virginia) と US East (Ohio) の Flex サイズで利用可能で、他リージョンは順次対応予定です。既存のデータベースは現在のサイズ・料金のまま変わらず稼働し続けます。Pro サイズは常時稼働で Scale to Zero の対象外です。 Compute の Scale to Zero、Laravel Valkey の Scale to Zero と組み合わせることで、開発環境やサイドプロジェクト、さらにはアクセスに波がある本番環境でもコストを最小化できます。Laravel Octane
Compute の Use Octane as runtime を有効化すると、CloudがOctane + FrankenPHP構成で実行します。サーバー設定を手で組み立てる必要がありません。Inertia SSR
Compute の Use Inertia SSR を有効化して使えます。スターターキットを使う場合はnpm run build:ssr が推奨されています。
WebSocketサーバー(Reverb)
Laravel Cloud WebSockets で、ReverbベースのWebSocketクラスタを作成できます。環境にアタッチするとREVERB_* と VITE_REVERB_* が自動注入されます。
Laravel Nightwatch連携
Environments にはワンクリック連携があり、CloudのChangelogでもJuly 1, 2025 に One-Click Nightwatch Integration が記録されています。手動構成が必要な場合も nightwatch-on-cloud に手順があります。
料金と無料プラン
Laravel Cloudの料金は、基本的にプラン料金 + 使用量課金です。詳細は常に Pricing を確認してください。
- Starter: 月額
$5。毎月$5分の使用クレジット付き。新規サインアップは初月無料 - Growth:
$20/mo + usage、毎月$5分の使用クレジット付き - Business:
$200/mo + usage、毎月$5分の使用クレジット付き
Scale to Zero と Managed Queues を組み合わせると、待機時間が長い個人開発や社内ツールでもコストを読みやすくなります。
実際に使う際の注意点
root権限前提の運用はできない
CloudはPaaSなので、OSレベルの自由度より運用の簡便さを優先します。カーネル設定や独自デーモンの常駐など、root権限前提の作業が必要ならForgeなどの選択肢を検討します。
Nightwatchのイベント量は最初に制御する
無料枠や小規模構成でNightwatchを使う場合、イベント量が増えやすいため最初にサンプリング調整を入れるのが安全です。向いているプロジェクト・向いていないプロジェクト
向いている
- Laravelアプリを最短で本番投入したい
- Scheduler / Queue / Octane / Inertia SSR / Reverb をまとめて運用したい
- アプリ開発に集中し、サーバー運用コストを下げたい
向いていない
- root権限でOSレベルまで強くチューニングしたい
- 既存の特殊インフラ要件(独自ミドルウェアや特殊ネットワーク制約)が強い
まとめ
Laravel Cloudは「Laravelの高度な機能を、インフラ構築の負担を下げて運用したい」チームに強く向いています。特に Scheduler / Queue / Octane / Inertia SSR / Reverb / Nightwatch を組み合わせるプロジェクトでは、立ち上げと運用の初速が大きく上がります。 一方で、root権限が必要な運用を前提にする場合はForgeのほうが適しています。
まずは無料トライアルで実際のワークロードを流し、運用要件に合うかを確認するのが確実です。